羽田を離陸してわずか12分後、伊豆半島沖を上昇中だった123便の機内を破壊音が切り裂きました。直後、客室内の気圧が急低下し、操縦席では客室高度警報が鳴動。パイロット訓練生への指導飛行を兼ねていたため、右席には機長昇格訓練中の佐々木祐副操縦士、左席には指導役の高濱雅己機長、そして後方パネルにフライトエンジニア(航空機関士)の福田博氏が着席していました。
高濱機長が「なんか爆発したぞ」と叫び、佐々木副操縦士に応急降下(エマージェンシー・ディセンド)を指示するなか、操縦桿は急激に重力を失いました。油圧が配管から噴出し、舵面を動かす動力が一瞬で失われたためです。福田機関士は計器の異変を見逃さず、直ちにシステムを点検しました。「油圧が落ちています」「ハイドロプレッシャー全滅」。この冷静かつ決定的なコールが、機長に現実を直視させました。通常の航空機運用マニュアルでは、4系統ある油圧配管が同時にすべて破損する事態は想定されておらず、事実上の操縦不能状態に陥ったことを意味していました。