村田版ワンパンマンの作画が他の追随を許さない最大の理由は、骨格と筋肉の連動を完璧に把握した立体感にあります。どれほど画力に長けた漫画家であっても、極限状態の筋肉の陰影や筋膜の浮き上がり、関節の捻れによるテンションの変化をゼロから空想で構築するのは至難の業です。
実際にポージングを行うボディビル選手の身体を観察することで、光の当たり方による広背筋の陰影、腹斜筋の立体的なカット、動脈の浮き彫りといったミクロな情報が手に入ります。村田氏は息子にポーズを取らせ、直接スケッチや撮影を行うことで、二次元のイラストに現実世界の質量と重量感を吹き込みました。単なるト写(トレース)にとどまらず、二次元特有のダイナミズムへ昇華させる技術こそ、村田雄介という鬼才の真骨頂です。