音源としての素晴らしさもさることながら、「月の逆襲」を語る上で欠かせないのがライブパフォーマンスにおける破壊力である。通常のツアーにおいてこの曲がセットリストに組み込まれる頻度は決して高くはない。だからこそ、イントロのベースリフが鳴り響いた瞬間、フロアには他の代表曲とは明らかに質の異なるどよめきが走る。
特に毎年9月8日に開催される特別なイベント「クリープハイプの日」など、コアなファンが集うステージにおいて、この曲は決定打としての役割を果たしてきた。例えば雨に見舞われた野外ステージなどで、濡れそぼる観客を前に長谷川カオナシがベースを構え、マイクに向かって放つ「月の逆襲」の凄絶さは語り草となっている。照明が青や紫の妖艶な光へと切り替わり、尾崎のギターがかき鳴らされる瞬間、会場全体の空気が一変する。
定番のフェス向けアンセム群とは一線を画し、バンドの奥底に眠る「業」のようなものを剥き出しにするこの曲は、クリープハイプが単なるポップロックバンドではないことを証明するための、最も鋭利な切り札であり続けている。