桃を美しくカットできたとしても、数分放置しただけで茶色くくすんでしまっては台無しです。桃の果肉に含まれるポリフェノール化合物は、空気に触れると酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)の働きによってメラニン色素を生成し、急速に褐変します。
この変色防止に最も高い効果を発揮するのが、酸性環境の構築と酸化防止剤の併用です。手軽かつ効果的な方法は以下の二つです。
ひとつは、レモン汁を加えた冷水(水200mlに対してレモン汁小さじ1/2程度)に、カットした桃を約2〜3分浸す方法です。レモンに含まれるビタミンC(アスコルビン酸)が酸化を還元し、クエン酸がpHを下げることで酵素の活性を劇的に抑え込みます。酸味が桃の甘みを引き締めるアクセントにもなり、デザートとしての完成度を高めます。
もうひとつは、塩分濃度約0.85%の薄い食塩水(水200mlに塩ひとつまみ弱)にくぐらせる手法です。リンゴの変色防止と同様、ナトリウムイオンが酵素の結合を阻害します。塩味をほとんど感じさせずに桃本来の風味を維持できるため、生クリームと合わせるケーキのデコレーションなどに重宝されます。