野菜室に入れたきゅうりが数日で黄色く変色したり、先端からドロドロに溶け出したりする現象には、明確な生理学的理由が存在します。きゅうりの原産地はインド西部の熱帯地域であり、保存の至適温度は10℃〜13℃とされています。一般的な冷蔵室(約3℃〜5℃)では冷えすぎて「低温障害」を起こし、細胞膜が破壊されて内部崩壊が始まります。
さらに厄介なのが、自らが放出する蒸散水分による結露です。密閉されたビニール袋の中で水滴が付着した状態が続くと、その水分を足がかりに雑菌が繁殖し、軟化腐敗が一気に進行します。加えて、リンゴやトマトなどのエチレンガスを放出する野菜・果物と同乗させると、きゅうりの老化スピードは通常の2倍以上に跳ね上がります。冷蔵庫内での「物理的な隔離」と「適温管理」が第一防衛線となります。